インプラント治療の痛みはどのくらい?治療前後の流れと対処法
- 2025年10月11日
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葛飾区金町の歯医者・矯正歯科『かなまち志田歯科』です。
インプラント治療は、失われた歯の機能と見た目を取り戻すための有効な選択肢として広く認知されています。しかし、治療を検討する多くの方が「痛み」に対して強い不安を抱いているのではないでしょうか。この記事では、インプラント治療のどの段階で、どのような種類の痛みが生じる可能性があるのか、その痛みにどのように対処すれば良いのかを具体的に解説していきます。治療全体の流れとともに、痛みの実態と対策を正しく理解することで、インプラント治療に対する不安を解消し、ご自身の意思に基づいた治療選択ができるよう、詳細に説明します。
はじめに:インプラント治療の「痛み」への不安を解消します
インプラント治療を検討されている多くの方が、「手術は痛いのではないか」「治療後も痛みが続くのではないか」といった不安を感じていることでしょう。インターネット上には様々な情報があふれていますが、中には不正確な情報や個人の感想に基づいて、不必要な恐怖心を抱かせてしまうものも見受けられます。
こうした漠然とした不安を払拭するため、本記事では医学的根拠に基づき、インプラント治療における痛みの実態を詳しく解説します。治療中に伴う痛みの性質や程度、痛みを管理するための麻酔の種類、そして治療後の痛みの経過や具体的な対処法について、網羅的に情報を提供いたします。
インプラント治療に関する正確な知識を得ることで、不必要な恐怖心から解放され、ご自身の状況を冷静に評価し、安心して治療を検討できるよう、分かりやすく説明を進めてまいります。
そもそもインプラント治療とは?失った歯の機能を取り戻す方法
インプラント治療とは、むし歯や歯周病、事故などによって失ってしまった歯の機能と見た目を回復させるための治療法の一つです。ブリッジや入れ歯といった従来の治療法とは異なり、残っている健康な歯を削ったり、義歯を支えるために負担をかけたりすることなく、独立して歯を再建できる点が大きな特徴です。
この治療では、生体親和性の高いチタン製の人工歯根(インプラント体)を、歯が失われた顎の骨に外科的に埋め込みます。インプラント体は数ヶ月の期間を経て顎の骨と強固に結合し、ご自身の歯の根のように安定した土台となります。その後、その土台の上に人工の歯(上部構造)を装着することで、見た目も機能も天然の歯に近い状態を取り戻すことができます。
インプラント治療の最大の利点は、自然な噛み心地と審美性を回復できる点にあります。また、健康な隣の歯に負担をかけないため、長期的な口腔全体の健康維持にも寄与します。しっかりと噛めるようになることで、食事の楽しみが増し、発音もしやすくなるなど、生活の質の向上が期待できる治療法です。
【段階別】インプラント治療で痛みを感じるタイミングとその程度
インプラント治療を検討されている方にとって、「痛み」は最大の不安要素の一つでしょう。しかし、その痛みは漠然としたものではなく、治療の特定のタイミングで生じる可能性があります。ここでは、インプラント治療における痛みを「手術中の痛み」「手術直後の痛み」「手術後の腫れ」という3つの主要な段階に分けて、それぞれの痛みの性質、程度、そして持続期間について具体的に解説します。
手術中の痛み:麻酔でコントロールできるため心配不要
インプラントの手術中に痛みを感じるのではないかと心配される方もいらっしゃるかもしれませんが、基本的に痛みを感じることはありませんのでご安心ください。インプラント手術では、治療部位に十分な量の局所麻酔を施します。これにより、手術中は痛みを感じることなく処置が進められます。
確かに、ドリルによる振動や骨を削る際の音などは感じることがありますが、これらは「痛み」とは異なる感覚です。ほとんどの患者様は、手術中に眠ってしまうほどの穏やかな状態で治療を受けています。また、通常1本のインプラント埋入にかかる時間は、準備から退出まで含めても約1時間程度と比較的短時間で終わるため、心理的な負担も大きくはありません。
手術後の痛み:ピークは1〜2日後、痛み止めで対処可能
手術が終了し、局所麻酔が切れると、傷口が治癒していく過程で痛みが現れることがあります。これは、親知らずを抜いた後などと同様に、外科処置後のごく自然な反応です。痛みのピークは手術の当日あるいは翌日(術後1〜2日目)に現れることが一般的です。
しかし、この痛みは、歯科医院から処方される痛み止め(鎮痛剤)を服用することで十分にコントロールできるレベルであることがほとんどです。多くの場合、インプラント手術後の痛みは、親知らずの抜歯後と同程度か、それよりも軽いと感じる方が多い傾向にあります。痛みの感じ方には個人差がありますが、処方された痛み止めを指示通りに服用することで、日常生活に大きな支障をきたすことなく過ごすことが可能です。
痛みのピークを過ぎると、日数とともに徐々に和らいでいき、ほとんどの場合、1週間から10日程度で痛みは消失します。
腫れについて:術後2〜3日がピーク、1〜2週間で治まるのが一般的
インプラント手術の後には、痛みと同様に腫れが生じることもあります。この腫れも、手術を受けたことによる身体の正常な治癒反応の一部です。通常のインプラント手術では、顔の見た目に影響するほどの顕著な腫れが生じることは稀ですが、インプラントを埋め込むために骨の量が不足している場合に行われる骨造成手術(骨を増やす処置)などを伴うと、一時的に腫れが目立つことがあります。
腫れのピークは手術後2~3日目に現れることが多く、その後は時間とともに徐々に引いていきます。一般的には、1~2週間以内には自然に治まるケースがほとんどです。腫れを最小限に抑えるため、術後は安静にし、適度に冷やすなどの対処が有効です。
インプラント治療の流れと各段階で想定される痛み
インプラント治療は、複数の段階を経て完了する複雑な治療です。そのため、治療全体における「痛み」への不安を軽減するためには、各工程で何が行われ、どのタイミングで痛みが生じる可能性があるのかを時系列で把握しておくことが大切になります。
このセクションでは、「カウンセリング・精密検査」から始まり、治療を終えた後の「メンテナンス」に至るまでの各ステップを順に追ってご説明します。それぞれの段階で痛みが発生する可能性の有無、そして痛みが生じた場合の具体的な対処法について詳しく解説していきますので、治療の旅路を見通せる安心感を得ていただければ幸いです。
1. カウンセリング・精密検査
インプラント治療の最初のステップは、「カウンセリング・精密検査」です。この段階では、まず歯科医師が患者様のお口の状態や全身の健康状態を詳しく伺い、インプラント治療が適しているかどうかを診断します。治療のメリットやデメリット、費用、期間などについて丁寧な説明が行われ、患者様の疑問や不安を解消するためのヒアリングが中心となります。
また、CTスキャンなどの精密な画像診断を用いて、顎の骨の厚みや高さ、神経や血管の位置を正確に把握します。これは、安全かつ確実なインプラント手術を行う上で非常に重要な工程です。このカウンセリング・精密検査の段階では、外科的な処置は一切行いませんので、痛みを感じることは全くありません。むしろ、安心して治療を進めるための大切な土台作りとなる段階だとお考えください。
2. 一次手術(インプラント体の埋入)と術後の痛み
一次手術では、歯茎を切開し、顎の骨にインプラント体(人工歯根)を埋め込みます。この手術は局所麻酔を十分に行いますので、手術中に痛みを感じることはほとんどありません。麻酔が効いている間は、ドリルによる振動や骨を削る音を感じることはありますが、痛みとは異なる感覚です。
手術後、麻酔が切れてくると、傷口が治癒する過程で痛みが生じることがあります。この痛みのピークは、手術当日から翌日にかけて(術後1〜2日)現れることが一般的です。しかし、この痛みは歯科医院から処方される痛み止め(鎮痛剤)を服用することで、十分にコントロールできる程度であることがほとんどです。多くの場合、一般的な抜歯後の痛みと同程度か、それ以下だと感じられるでしょう。
術後は、血行が良くなることを避けるため、激しい運動や飲酒、長時間の入浴は控えてください。また、患部を刺激しないように、柔らかい食事を心がけ、安静に過ごすことが痛みを最小限に抑え、スムーズな回復を促す上で重要です。
3. 治癒期間(骨との結合)
一次手術が終わった後には、埋め込んだインプラント体と顎の骨がしっかりと結合するのを待つ「治癒期間」に入ります。この結合のプロセスは「オッセオインテグレーション」と呼ばれ、インプラント治療の成功に不可欠な要素です。治癒期間は通常、数ヶ月を要します。
この期間中、インプラント体は歯茎の下に完全に覆われている状態のため、痛みを感じることは基本的にありません。手術が終わってからの数週間で、徐々に普段通りの生活に戻ることができます。日常生活への影響がほとんどない、静かにインプラント体が骨と結合するのを待つ期間であるとご理解ください。
4. 二次手術(アバットメントの連結)
インプラント体と顎の骨が完全に結合したら、次のステップとして「二次手術」を行います。この手術では、歯茎を小さく切開し、骨と結合したインプラント体の上に、人工歯を連結するための部品である「アバットメント」を装着します。
一次手術に比べて非常に小規模な処置であり、局所麻酔下で行うため、手術中に痛みを感じることはありません。術後の痛みや腫れもほとんどないか、あったとしてもごく軽度で、数日で治まることが一般的です。この段階で、いよいよ人工歯を装着するための準備が整います。
5. 人工歯の装着と噛み合わせ調整
二次手術後の歯茎が完全に治癒した後に、最終段階である「人工歯の装着と噛み合わせ調整」を行います。まず、お口の型取りを行い、それに基づいて歯科技工士が一人ひとりの患者様に合わせたオーダーメイドの人工歯(上部構造)を作製します。
作製された人工歯は、アバットメントに装着されます。このステップは、麻酔や外科処置を伴いませんので、痛みを感じることは一切ありません。人工歯を装着した後には、患者様の噛み合わせが適切であるかどうかの最終調整を行います。これにより、自然な見た目と快適な噛み心地が実現し、インプラント治療が完了となります。
6. メンテナンス(定期検診)
インプラント治療が完了した後も、その機能を長期間維持するためには、「メンテナンス(定期検診)」が非常に重要です。自宅での丁寧なセルフケアと並行して、歯科医院での定期的なプロフェッショナルケアが不可欠となります。
定期検診では、インプラント周囲の清掃、噛み合わせのチェック、レントゲンによる顎の骨の状態の確認などが行われます。これらのメンテナンス自体は痛みを伴うものではありません。むしろ、インプラント周囲炎などの将来的な問題や痛みを未然に防ぎ、インプラントを長持ちさせるための大切なステップだとお考えください。
治療後の痛みが長引く場合に考えられる原因
通常は手術後数日で治まるはずのインプラント治療後の痛みが、1週間以上経っても続く場合や、一度治まった痛みが再び現れた場合は、何らかの異常が起きているサインである可能性があります。このような状況では、自己判断せずに歯科医院に相談することが非常に重要です。これから、痛みが長引く場合に考えられる具体的な原因として、「インプラント周囲炎」「骨との結合不全」「神経・血管の損傷」の3つについて詳しくご説明しますので、ご自身の状況と照らし合わせて参考にしてください。
インプラント周囲炎を発症している可能性
インプラント治療後の痛みが長引く原因として、最も警戒すべきものの一つが「インプラント周囲炎」です。これは、インプラントの周りの歯茎や顎の骨が細菌に感染し、炎症を起こす病気で、天然の歯に発生する歯周病と非常によく似た進行をたどります。
主な症状としては、歯茎の腫れや赤み、インプラント周囲からの出血、そして膿(うみ)が出る排膿(はいのう)が見られることがあります。これらの症状に伴って、鈍い痛みや、噛んだ時の違和感などが生じることもあります。インプラント周囲炎の主な原因は、インプラント周囲のプラーク(歯垢)コントロールが不十分であることや、定期的なメンテナンスを怠ることです。放置すると炎症が骨にまで及び、最終的にはインプラントを支える顎の骨が溶けて、最悪の場合にはインプラントが脱落してしまう危険性もあります。そのため、早期に発見し、適切な治療を受けることが非常に重要です。
インプラントと骨が結合していない
インプラント治療の成功には、埋め込んだインプラント体と顎の骨がしっかりと結合する「オッセオインテグレーション」という現象が不可欠です。しかし、何らかの理由でこの結合がうまくいかない「結合不全」が発生すると、痛みが長引く原因となることがあります。
結合不全の原因としては、喫煙習慣がある方、糖尿病などの全身疾患が良好にコントロールされていない方、あるいは手術時の顎の骨の量や質が不足していたことなどが挙げられます。結合不全の症状としては、インプラント周辺の軽い痛みや違和感、そしてインプラントがわずかに動揺(ぐらつき)する感じが挙げられます。このような状態ではインプラントが本来の機能を果たすことができないため、多くの場合、一度インプラントを撤去し、結合不全の原因を改善した上で再度のインプラント手術を検討する必要があります。
神経や血管の損傷
頻度は極めて稀ではありますが、インプラント手術によって神経や血管が損傷することも、痛みが長引く、あるいは異常な感覚が生じる原因となり得ます。特に下顎のインプラント手術を行う際には、顎の骨の内部を通る「下顎管」という太い神経や血管を傷つけてしまうリスクがゼロではありません。
もし下顎管を損傷してしまった場合、手術した側の唇や顎、舌などに麻痺やしびれが生じ、これが長期的に続く可能性があります。このような重篤な合併症を避けるためには、術前の精密な診査と治療計画が不可欠です。歯科用CTスキャンを用いて顎の骨の構造や神経・血管の位置を3次元的に正確に把握し、これを基に安全な手術計画を立てることが極めて重要です。そのため、事前の精密検査を徹底し、豊富な知識と経験を持つ歯科医師が在籍し、医療設備が整っているクリニックを選ぶことが、リスクを最小限に抑える上で非常に大切になります。
もしインプラント治療後に痛みが出たら?すぐにできる対処法
インプラント手術は、術前の精密な計画と適切な麻酔によって、手術中の痛みはほとんど感じません。しかし、手術後に麻酔が切れ、傷が治癒していく過程で、ある程度の痛みや腫れが生じることは自然な反応です。もしインプラント手術後に痛みが出たとしても、自分でできる初期対応を知っておくことで、安心して過ごせるでしょう。このセクションでは、処方された痛み止めの服用、患部の冷却、そして歯科医院への適切な相談方法といった具体的な対処法について解説します。
処方された痛み止めを服用する
インプラント手術後の痛みに対して最も基本的な対処法は、歯科医院から処方された痛み止め(鎮痛剤)を適切に服用することです。痛みが強くなって我慢できなくなってから飲むのではなく、麻酔が切れる前や、痛みがわずかに出始めたタイミングで指示通りに服用することが、痛みを効果的にコントロールするコツとなります。これにより、痛みがピークに達するのを防ぎ、より快適に過ごせるでしょう。
また、痛み止めを服用する際は、必ず歯科医師から処方された薬を使用してください。市販の痛み止めの中には、血液をサラサラにする作用がある成分が含まれているものもあり、術後の出血を助長する可能性があるので注意が必要です。疑問がある場合は、必ず事前に歯科医院に確認しましょう。
患部を冷やす
手術後の痛みや腫れを和らげるには、患部を冷却することも有効な方法です。氷嚢や保冷剤などを清潔なタオルで包み、腫れている部分の頬の外側から優しく当ててください。直接氷を当てるのは避け、必ずタオルなどで包んで使用しましょう。
冷やしすぎは血行不良を引き起こし、かえって治癒を妨げる可能性があります。そのため、「10〜20分程度冷やしたら、少し休む」という間欠的な冷却が効果的です。このサイクルを繰り返すことで、効率的に痛みや腫れを管理できるでしょう。就寝時には冷却を中断し、安静にすることも大切です。
歯科医院に相談する
インプラント手術後の痛みは、通常であれば処方された痛み止めでコントロールでき、数日で徐々に和らいでいきます。しかし、もし処方された痛み止めを飲んでも全く効かないほどの激しい痛みが続く場合や、1週間以上経っても痛みが引かない場合、あるいは発熱や大量の出血、口が開けにくいといった異常な症状を伴う場合は、自己判断せずに速やかに治療を受けた歯科医院に連絡することが最も重要です。
専門家である歯科医師による的確な診断と処置が、問題を解決する最善の道となります。不安な気持ちを抱え込まず、少しでも気になる症状があれば遠慮なく歯科医院に相談しましょう。早期に対応することで、合併症のリスクを最小限に抑え、治療の成功へとつながります。
治療後の注意点:痛みを悪化させないために
インプラント手術後の痛みを悪化させず、順調な治癒を促進するためには、いくつかの注意点を守ることが非常に大切です。まず、血行が良くなりすぎると痛みや出血の原因となるため、術後数日間は「禁酒」「激しい運動」「長時間の入浴」を避けてください。シャワー程度であれば問題ありませんが、体を温めすぎないように注意しましょう。
次に、傷口への刺激を避けることが重要です。舌や指で手術部位を触らないようにし、うがいも優しく行うようにしてください。食事は、手術部位に負担がかからないよう、硬いものや刺激の強いものは避け、柔らかくて消化しやすいものを心がけましょう。また、喫煙は血流を悪化させ、骨とインプラントの結合を著しく妨げるだけでなく、感染のリスクも高めるため、術後だけでなくインプラントを長持ちさせるためにも控えることが強く推奨されます。これらの注意点を守ることで、痛みを最小限に抑え、より早く回復できるでしょう。
インプラントの痛みに関するよくある質問
このセクションでは、インプラント治療の痛みに関して、患者様から特によく寄せられる質問とその回答をまとめました。治療への不安を解消し、安心して次のステップへ進んでいただくための一助となれば幸いです。
骨造成(骨を増やす処置)は痛いですか?
骨造成(GBRやサイナスリフトなど)は、顎の骨の量が不足している場合に、インプラントを安全に埋め込むための土台を作る重要な処置です。この手術自体は、インプラント埋入手術と同様に局所麻酔を十分に行うため、術中に痛みを感じることはありませんのでご安心ください。
しかし、骨造成はインプラント埋入のみの場合と比較して処置の範囲が広くなるため、麻酔が切れた後の術後の痛みや腫れがやや強く出る傾向があります。この痛みも、歯科医師から処方される鎮痛剤を服用することで十分にコントロールできるレベルです。時間とともに必ず和らいでいきますので、過度な心配は不要ですが、術後の注意事項をしっかりと守り、無理のない生活を心がけることが大切です。
痛みや恐怖心が強い場合、麻酔は選べますか?(静脈内鎮静法)
インプラント手術に対して強い痛みへの不安や恐怖心を抱いている方も少なくありません。そのような場合のために、「静脈内鎮静法」という麻酔法があります。これは点滴によって鎮静剤を投与し、うたた寝をしているような、非常にリラックスした状態で手術を受けていただく方法です。
静脈内鎮静法は、全身麻酔とは異なり意識はありますが、不安や恐怖心はほとんど感じず、治療中の記憶も曖昧になることが多いのが特徴です。局所麻酔と併用することで、手術中の痛みはもちろんのこと、精神的な負担も大きく軽減されます。歯科治療に対するトラウマがある方や、長時間の治療に不安がある方にとって、非常に有効な選択肢となります。
静脈内鎮静法は、すべての歯科医院で対応しているわけではありませんので、希望される場合は、事前に対応可能なクリニックか、また麻酔担当医が常駐しているかなどを確認することをおすすめします。
持病(糖尿病・心疾患など)があっても治療は可能ですか?
糖尿病や心疾患、高血圧といった持病をお持ちの場合でも、インプラント治療が不可能というわけではありません。最も重要なのは、かかりつけの内科医と密に連携し、持病が良好にコントロールされている状態であることです。
例えば、糖尿病の場合であれば、血糖値(HbA1c)が安定していることが治療の前提となります。心疾患であれば、手術に耐えられる健康状態であるかを主治医に確認する必要があります。これらの情報に基づき、歯科医師と医科の医師が連携して、患者様にとって最も安全で適切な治療計画を立案します。
また、骨粗しょう症の治療でビスホスホネート製剤を服用している場合は、顎骨壊死のリスクがわずかながらあるため、特に注意が必要です。持病や服用している薬がある場合は、必ず事前に歯科医師に申告してください。適切な管理下であれば、多くの場合インプラント治療は可能ですので、まずはご相談いただくことが大切です。
治療費は医療費控除の対象になりますか?
はい、インプラント治療費は医療費控除の対象となります。医療費控除とは、1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合に、所得税や住民税が還付または軽減される制度です。これにより、治療費の経済的負担を軽減することができます。
医療費控除は、患者様ご本人だけでなく、生計を共にするご家族の分も合算して申告することが可能です。申請には治療費の領収書が必要となりますので、紛失しないように必ず保管しておきましょう。具体的な申請方法や控除額については、お住まいの地域の税務署や国税庁のウェブサイトで詳細をご確認ください。
痛みの少ないインプラント治療を受けるための歯科医院選びのポイント
インプラント治療における痛みを最小限に抑え、快適な治療を受けるためには、術前の丁寧な準備と、執刀医の確かな技術が非常に重要となります。そのため、どの歯科医院を選ぶかという点が、治療の成功と満足度を大きく左右するといえるでしょう。ここでは、痛みの少ないインプラント治療を実現するために、歯科医院を選ぶ際に注目すべき三つの具体的なポイントについて詳しく解説していきます。
実績が豊富で、丁寧なカウンセリングを行うか
歯科医院を選ぶ上で、まず注目したいのが、インプラント手術における「実績の豊富さ」と「カウンセリングの質」です。インプラント手術の経験が豊富な歯科医師は、症例に対する深い知識と技術を持っており、手際の良い処置で手術時間を短縮し、周囲の組織へのダメージを最小限に抑えることができます。結果として、術後の痛みや腫れが少なくなる傾向にあります。
また、患者様の不安に真摯に寄り添い、インプラント治療の選択肢、メリットとデメリット、治療のリスク、具体的な費用、治療後のメンテナンスなどについて、時間をかけて丁寧に説明してくれるカウンセリングの姿勢も非常に重要です。患者様との信頼関係がしっかりと築かれているクリニックであれば、心理的な不安も軽減され、安心して治療に臨むことができるでしょう。
CTなどの精密検査設備が整っているか
痛みの少ない安全なインプラント治療を受けるためには、「CTなどの精密検査設備」が整っているかどうかも重要な判断基準となります。従来のレントゲン写真は二次元的な情報しか得られませんが、歯科用CTは顎の骨の厚みや高さ、形状、そしてインプラント埋入部位に近接する神経や血管の位置を三次元的かつ正確に把握することができます。
このCTデータに基づいて精密な術前診断と綿密な治療計画を立てることで、神経損傷や血管損傷といった重大なリスクを未然に回避し、安全で確実な手術を行うことが可能になります。CT設備を導入していることは、患者様の安全性を最優先に考えたクリニックの姿勢を示すものといえるでしょう。
衛生管理が徹底されているか
インプラント手術は外科処置であるため、「衛生管理の徹底」は非常に重要なポイントです。手術部位が細菌に感染してしまうと、術後の痛みや腫れが長引くだけでなく、最悪の場合、インプラントが骨と結合せずに脱落してしまうリスクも生じます。感染を防ぐためには、クリニック全体で厳格な衛生管理が行われているかを確認することが大切です。
具体的には、インプラント手術専用のクリーンな手術室が設置されているか、使用する器具が適切に滅菌・消毒されているか、使い捨て(ディスポーザブル)製品を積極的に使用しているかなどが確認のポイントとなります。院内の清潔感や、スタッフの感染予防に対する意識の高さも、衛生管理の質を測る一つの指標となるでしょう。
まとめ:正しい知識でインプラント治療の痛みは怖くない
インプラント治療は失った歯の機能と見た目を取り戻す素晴らしい治療法ですが、「痛み」に対する不安から一歩踏み出せない方も少なくありません。しかし、これまでの解説でお分かりいただけたように、インプラント治療に伴う痛みは、適切な知識と準備があれば決して怖いものではありません。
まず、手術中の痛みについては、局所麻酔が十分に効くため、基本的に感じることはありません。そして、手術後の痛みも、麻酔が切れてから数日でピークを迎え、その後は徐々に和らいでいく一過性のものです。処方される痛み止めを適切に服用することで、その痛みは十分にコントロールすることができますのでご安心ください。
痛みの少ないインプラント治療を受けるためには、歯科医院選びが非常に重要です。実績が豊富で、患者さんの不安に寄り添った丁寧なカウンセリングを行う歯科医院、そしてCTなどの精密検査設備が整っており、徹底した衛生管理を行っている歯科医院を選ぶことが、安全で快適な治療への第一歩となります。正しい知識を持ち、信頼できる歯科医院を見つけることで、インプラント治療への不安を払拭し、健康で美しい歯を取り戻すための一歩を踏み出してください。
少しでも参考になれば幸いです。
本日も最後までお読みいただきありがとうございます。
監修者
志田 祐次郎 | Shida Yujiro
日本大学松戸歯学部卒業後、国保旭中央病院、医療法人恵潤会つるみ歯科・小絹つるみ歯科に勤務し、医療法人Belldent志田歯科の理事を務める。 学校法人広沢学園つくば歯科衛生士専門学校の講師を経て、絹の台歯科クリニック、いちファミリー歯科クリニックで勤務を重ね、2020年に「かなまち志田歯科」開院。
【所属】
【略歴】
- 日本大学松戸歯学部 卒業
- 国保旭中央病院 前期・後期研修
- 医療法人恵潤会つるみ歯科・小絹つるみ歯科 勤務
- 医療法人Belledent志田歯科 理事
- 学校法人広沢学園つくば歯科衛生士専門学校 講師
- 絹の台歯科クリニック 常勤勤務
- いちファミリー歯科クリニック 非常勤
金町駅/京成金町駅徒歩2分の歯医者・矯正歯科
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