セレック治療を考えている方必見:費用相場と治療期間の実態
- 2025年9月13日
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葛飾区金町の歯医者・矯正歯科『かなまち志田歯科』です。
セレック治療は、失ってしまった歯の一部や全体を補うために、歯科用のセラミック素材を使って詰め物やかぶせ物を短時間で作製する革新的な治療法です。この治療法は、3D技術を駆使することで、患者にとって負担の少ない、スピーディーな治療を実現します。
「セレック治療に興味はあるけれど、費用はどのくらいかかるのだろう」「治療期間は本当に短いの?」といった不安や疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。この記事では、そのような疑問にお答えするため、セレック治療の費用相場や治療期間について詳しく解説していきます。
さらに、セレック治療のメリットとデメリット、そしてご自身に最適な治療を受けるための歯科医院の選び方まで、網羅的にご紹介します。ぜひ最後までご覧ください。
セレック治療とは?基本情報と特徴
このセクションでは、セレック治療の基本的な情報と主な特徴について分かりやすく解説します。専門的な言葉をなるべく使わず、セレック治療がどのようなもので、なぜ注目されているのかを概観できるように説明していきます。歯の治療で「セレック」という言葉を初めて耳にした方も、このセクションを読めば、その全体像を理解していただけるでしょう。
セレック治療の概要
セレック治療とは、歯科医療の現場で活用されている「CAD/CAMシステム」というコンピュータ技術を用いた治療法です。このシステムを使うことで、虫歯などで失われた歯の一部を補う「詰め物」や、歯全体を覆う「かぶせ物」といった修復物を、院内で直接設計し作製することができます。
具体的な仕組みとしては、まず治療する歯を3D光学カメラでスキャンし、そのデータをコンピュータに取り込みます。このデジタルデータをもとに、修復物の形を精密にデザインし、そのデザインデータに基づいてセラミックのブロックを機械で削り出すことで、詰め物やかぶせ物が作製されるのです。
この一連のプロセスが院内で完結するため、従来の治療法に比べて、治療期間が短く、患者さんの負担が少ない点がセレック治療の大きな特徴と言えます。
CAD/CAMシステムの役割
セレック治療の中心となるのが「CAD/CAMシステム」です。CADとは「Computer-Aided Design(コンピュータによる設計)」の略で、歯の形をスキャンしたデータをもとに、コンピュータの画面上で詰め物やかぶせ物の設計を行います。従来の治療のように歯の型を取る必要がなく、高精度なデジタルデータで設計できるため、患者さんの歯にぴったり合った修復物をデザインすることが可能です。
一方、CAMとは「Computer-Aided Manufacturing(コンピュータによる製造)」の略で、CADで設計されたデータをもとに、専用のミリングマシン(削り出し機)がセラミックのブロックを自動で削り出します。この工程はすべて機械で行われるため、人の手による誤差が生じにくく、常に均一で高品質な修復物が作製されます。つまり、CADで精密に設計し、CAMでその設計通りに忠実に製造することで、セレック治療は高精度な歯科修復物を提供できるのです。
セレック治療と従来の歯科治療の違い
セレック治療と従来の歯科治療の最も大きな違いは、修復物を作製する場所と工程にあります。従来の治療では、まず歯の型を粘土のような材料で取り、それを歯科技工所に送って詰め物やかぶせ物を製作してもらいます。そのため、歯科技工所での製作期間が必要となり、通常は治療が完了するまでに数回の通院が必要でした。
これに対し、セレック治療は、歯の型取りの代わりに3D光学カメラで歯をスキャンし、その場でコンピュータを使って修復物を設計し、専用の機械でセラミックブロックを削り出します。これにより、設計から作製、そして装着までの一連の工程を歯科医院内で完結させることが可能です。そのため、早ければ1日で治療が完了することもあり、忙しい方でも治療を受けやすいという大きなメリットがあります。
また、従来の治療法で多くの患者さんが不快に感じていた、粘土のような材料を口の中に入れる「歯型取り」が不要になる点も、セレック治療の大きな利便性です。嘔吐反射が強い方や、口を大きく開け続けるのが苦手な方にとっても、ストレスの少ない治療体験を提供できると言えるでしょう。
セレック治療の流れと治療期間
このセクションでは、セレック治療が具体的にどのような手順で進められるのか、そして治療にかかる期間について詳しく解説します。実際の治療の流れをイメージしていただけるように、ステップごとに見ていきましょう。
治療のステップ:口腔内撮影から取り付けまで
セレック治療は、大きく分けて「口腔内撮影」「設計」「ミリング(削り出し)」「取り付け」という4つの主要なステップで進められます。ここでは、それぞれの工程について具体的にご説明します。
口腔内撮影のプロセス
セレック治療の最初のステップは「口腔内撮影」です。ここでは、特殊な「3D光学カメラ」という機器を使用して、治療が必要な歯とその周囲の状況をスキャンします。このスキャンにより、歯の形や噛み合わせの状態が精密な立体的なデジタルデータとしてコンピューターに取り込まれます。
従来の歯科治療で多くの方が苦手意識を持つ、粘土のような材料を使った不快な歯型取りは一切不要です。このデジタルスキャンにより、患者さんの負担を大幅に軽減できる点が、セレック治療の大きな特徴の一つと言えるでしょう。
自動設計と歯科技工士による微調整
歯のデータがデジタル化されたら、次に「設計」のプロセスに移ります。コンピューターの画面上には、スキャンされた歯の3Dモデルが表示され、このデータをもとに修復物(詰め物やかぶせ物)の形を設計していきます。
セレックシステムには、最適な歯の形を自動で提案する機能が備わっています。しかし、最終的な仕上がりの美しさや、お口の中での精密な適合、そして自然な噛み合わせを実現するためには、歯科医師や歯科技工士が細部にわたる微調整を行うことが重要です。経験豊富な専門家が、手作業では難しいような細かな調整をデジタル上で行い、より完成度の高い修復物を目指します。
セラミックブロックのミリング工程
設計が完了すると、いよいよ修復物を作製する「ミリング」工程です。設計されたデジタルデータは、「ミリングマシン」と呼ばれる専用の機械に送られます。このミリングマシンが、高品質なセラミックのブロックを精密に削り出し、設計通りの詰め物やかぶせ物を作り上げていきます。
このセラミックブロックは、工場で厳格な品質管理のもとで製造されており、内部に気泡などが混入することがほとんどありません。そのため、手作業で作製されたものと比較して、均一な密度と安定した強度を持つ修復物が短時間で出来上がるのが特徴です。
修復物の取り付けと仕上げ
ミリングマシンで削り出されたセラミックの修復物が完成したら、治療の最終ステップである「取り付けと仕上げ」に入ります。まず、完成した修復物を患者さんの口の中で実際に合わせてみて、噛み合わせの高さや左右のバランス、そして歯との適合状態を歯科医師が綿密に確認します。
問題がなければ、特殊な接着剤を使用して修復物を歯にしっかりと固定します。最後に、表面を滑らかにするための研磨を行い、見た目も機能も自然な仕上がりを目指します。これにより、治療は完了し、その日のうちに機能的な歯を取り戻すことができます。
治療期間の目安と即日治療の可能性
セレック治療は、従来の治療法に比べて治療期間が大幅に短縮されることが大きな特徴です。ここでは、セレック治療がどのような場合に1日で完了するのか、また、どのような場合に複数回の通院が必要になるのかを詳しく見ていきましょう。
即日装着が可能なケース
セレック治療の最も大きなメリットの一つは、最短で治療を開始したその日のうちにセラミックの歯が装着できる「即日装着」の可能性です。この即日装着は、主に比較的虫歯が小さく、部分的な詰め物(インレー)で対応できるケースや、複雑な色合わせを必要としない一本だけの被せ物(クラウン)の場合に可能です。
朝に歯科医院を受診すれば、その日のうちに口腔内スキャンから設計、ミリング、そして装着までが完了するため、忙しい方にとって非常に大きな利便性をもたらします。
治療期間が延びる場合の理由
セレック治療であっても、すべてのケースで即日装着が可能というわけではありません。以下のような場合には、治療期間が1日以上かかることがあります。
例えば、複数の歯を同時に治療する場合や、ブリッジのように連結した修復物が必要な場合は、作製に時間がかかります。また、非常に高い審美性を追求し、天然歯と寸分違わない色調の再現を求める際には、歯科技工士による特別な手作業での色付けや調整が必要となり、その分、期間が延びる可能性があります。
さらに、虫歯が深く神経の治療が必要な場合や、歯周病の治療を先行して行う必要があるなど、修復物を入れる前の前処置に時間が必要なケースも、治療期間が長くなる要因となります。
治療後のフォローアップ
セレック治療が完了した後も、治療した歯を長持ちさせるためには「フォローアップ」が非常に重要です。新しいセラミックの歯が問題なく機能しているか、噛み合わせに変化がないかなどを確認するためには、定期的なメンテナンスが不可欠です。
セラミックは非常に丈夫な素材ですが、万が一の破損のリスクを減らし、虫歯や歯周病からお口全体を守るためには、歯科医院での定期検診を継続的に受けることが大切です。定期検診では、プロによるクリーニングや噛み合わせのチェック、修復物の状態確認などが行われ、早期に問題を発見し対処することができます。
セレック治療の費用相場と保険適用の有無
セレック治療を検討する際、多くの方が気になるのはやはり費用についてではないでしょうか。このセクションでは、セレック治療にかかる費用について、保険適用外となる自由診療の場合と、条件を満たせば保険が適用される場合の両面から詳しく解説します。それぞれの費用相場や適用される条件、また注意すべき点についても具体的に見ていきましょう。
自由診療の場合の費用
セレック治療は、多くの場合、保険適用外の自由診療となります。自由診療の場合、使用する素材や治療する歯の種類によって費用が異なりますが、ここでは主に詰め物(インレー)と被せ物(クラウン)に分けて、それぞれの費用相場をご説明します。
詰め物の費用相場
自由診療でセレックの詰め物(インレー)を入れる場合の費用相場は、1本あたり6万円から7万円程度が目安となります。これは、奥歯などの部分的な虫歯治療で、歯の一部を削ってセラミックの詰め物を装着する際に用いられる費用です。歯の状態や歯科医院によって多少の変動はありますが、この範囲を目安にすると良いでしょう。
被せ物の費用相場
次に、自由診療でセレックの被せ物(クラウン)を入れる場合の費用相場は、1本あたり8万円から12万円程度が目安となります。被せ物は、神経を抜いた歯や、虫歯が大きく進行して歯全体を覆う必要がある場合に選択される治療です。詰め物と比べて歯を広範囲に覆うため、一般的に費用も高くなる傾向にあります。
セラミック治療との費用比較
セレック治療は、歯科技工士が手作業で製作する従来のセラミック治療と比較して、費用が抑えられる傾向にあります。一般的に、従来のセラミック治療より2万円程度安くなることが多いです。これは、セレック治療が歯科医院内で設計から作製までを完結させるため、歯科技工所への外注費や人件費を削減できるためです。そのため、高品質なセラミック治療を比較的リーズナブルに受けたい方にとっては、魅力的な選択肢と言えるでしょう。
保険適用の場合の費用
セレック治療は基本的に自由診療ですが、特定の条件を満たせば保険が適用されるケースもあります。ここでは、どのような素材を使い、どのような条件を満たせば保険が使えるのか、そしてその場合の費用について詳しくご説明します。
ハイブリッドセラミックの使用と費用削減
保険適用でセレック治療を受ける際に中心となるのは、ハイブリッドセラミックという素材です。ハイブリッドセラミックは、セラミックと歯科用プラスチック(レジン)を混ぜ合わせた素材で、この素材を使用し、かつ特定の部位の歯に適用する場合に限り、保険が適用されるようになりました。これにより、患者の費用負担は大幅に軽減され、3割負担の場合、1本あたり約1万円程度に抑えられることが一般的です。
保険治療の条件と注意点
セレック治療で保険を適用するには、いくつかの条件があります。まず、保険適用が認められるのは、一般的に小臼歯(前から4番目と5番目の歯)など特定の部位の歯に限られます。また、使用できる素材はハイブリッドセラミックに限定され、オールセラミックなどの高品質な素材は対象外です。さらに、全ての歯科医院で保険適用のセレック治療を行っているわけではないため、治療を受ける前に、ご自身のケースが保険適用になるのか、またその歯科医院で保険診療に対応しているのかを必ず確認するようにしてください。
保険適用外の場合の費用負担
もし、前歯など審美性が特に求められる部位の治療を希望する場合や、保険適用外の高品質なセラミック素材(例えば、より透明感の高いオールセラミック)を選んだ場合は、残念ながら全額自己負担の自由診療となります。ご自身の希望や治療する歯の場所によっては、保険適用を期待していても、実際には適用外となる可能性もあります。治療を受ける前に、費用に関する詳細な説明を歯科医師から十分に聞き、納得した上で治療を進めることが大切です。
セレック治療のメリットとデメリット
セレック治療を検討されている方は、その利点だけでなく、注意すべき点も知っておくことが大切です。このセクションでは、セレック治療のメリットとデメリットの両方を詳しく解説し、治療を受けるべきかどうかの判断に役立つ情報を提供します。
メリット:耐久性・審美性・治療のスピード
セレック治療の大きな魅力は、その「耐久性」「審美性」「治療のスピード」にあります。ここからは、これらのメリットについて、具体的な理由とともに詳しくご説明します。
セラミック修復物の耐久性
セレック治療で用いられるセラミック修復物は、非常に優れた耐久性を持っています。これは、修復物の材料となるセラミックブロックが、厳格な品質管理のもと工場で製造されているためです。このブロックから直接歯を削り出すことで、素材の内部に不純物や気泡がほとんど混入せず、密度が均一で安定した強度が得られます。そのため、従来の詰め物や被せ物と比べて割れにくく、長期間にわたって安定した機能を発揮しやすいという特徴があります。
審美性と天然歯との境目の仕上がり
セレック治療の大きなメリットの一つが、その高い審美性です。セラミックは天然の歯と非常によく似た色調や透明感を再現できる素材のため、銀歯のように目立つことがなく、自然な口元を実現できます。また、コンピュータ制御によって非常に精密に修復物が作製されるため、治療した歯と天然の歯との境目が滑らかに仕上がります。段差ができにくいことで、歯垢が溜まりにくくなり、二次的な虫歯(治療した箇所の隣にできる虫歯)のリスクを低減できるという利点もあります。
歯型取り不要の利便性
多くの患者が従来の歯型取りに対して抱える不快感を解消できることも、セレック治療の大きな利点です。粘土のような材料を口の中に入れる従来の型取りの代わりに、セレック治療では3D光学カメラで歯をスキャンするだけで済みます。これにより、嘔吐反射が強い方でも、比較的楽に治療を受けていただくことが可能です。
デメリット:適応症例の制限と色調の再現性
セレック治療には多くのメリットがありますが、全ての方や全ての症例に適しているわけではありません。ここでは、セレック治療のデメリットとして「適応症例の制限」と「色調の再現性」という2つの観点から、どのような場合にセレック治療が向かないのか、また見た目に関する限界はどこにあるのかを正直にお伝えします。
適応できない症例の例
セレック治療は多くの症例で効果を発揮しますが、残念ながら全ての方に万能な治療法ではありません。例えば、歯ぎしりや食いしばりが極端に強い患者の場合、セラミックに過度な力がかかり、破損のリスクが高まることがあります。また、複数の歯にまたがる大きなブリッジや、非常に深い位置にある虫歯など、症例によってはセレックシステムでの対応が難しいケースもあります。ご自身の歯の状態がセレック治療に適しているかどうかは、歯科医師とよく相談して確認することが重要ですいです。
色調再現性の課題
セレック治療では、あらかじめ製造された単色のセラミックブロックを削り出して修復物を作成します。そのため、天然の歯が持つ複雑な色のグラデーションや、先端部分の透明感などを完全に再現することが難しい場合があります。特に、見た目が重要視される前歯の治療では、歯科技工士が手作業で色付けを行う従来のセラミック治療の方が、より自然で繊細な色調を再現できるケースもあります。審美性に対して高いこだわりがある場合は、この点を考慮して治療法を選ぶことが大切です。
歯を削る量が多い場合の影響
セレック治療で使用するセラミックは、十分な強度を確保するために一定の厚みが必要となります。そのため、場合によっては、健康な歯質を従来の詰め物や被せ物よりもやや多めに削る必要があるケースが出てきます。これは、詰め物の材料によってはより少ない切削量で済む他の治療法と比較した場合、デメリットとなり得ます。治療を受ける際には、削る量についても歯科医師から十分な説明を受け、納得した上で進めることが重要です。
セレック治療を選ぶ際の注意点
セレック治療を検討されている方が、実際に治療を選択する際に後悔しないために、知っておくべき重要な注意点についてご説明します。ここでは、治療を受ける前の確認事項と、治療後のセルフケアの両面から、大切なポイントを詳しく解説していきます。
噛み合わせや色の確認
セレック治療を成功させ、治療の機能面と審美面の両方で満足のいく結果を得るためには、治療を受ける前の「噛み合わせ」と「色」の確認が特に重要になります。ここでは、これらのポイントについて、歯科医師とどのように確認していくべきかを詳しくご説明します。
噛み合わせの調整方法
セレック治療で新しい修復物が入った後、その「噛み合わせの調整」は非常に重要です。もし、新しい歯が高すぎたり低すぎたりして違和感があると、他の健康な歯や顎関節に余計な負担がかかり、痛みや不調の原因となる可能性があります。
修復物を口の中に装着した後、歯科医師は患者に色のついた紙を噛んでもらうことで、特定の箇所に強く当たっていないかを確認します。その紙の跡を見ながら、ミクロン単位で丁寧に高さを調整し、患者の噛み合わせが自然で快適な状態になるよう仕上げていきます。
色の確認と自然な仕上がりの工夫
セレック治療で用いるセラミックは天然の歯に近い色を再現できますが、修復物の「色の確認」は非常にデリケートな作業です。治療を開始する前に、歯科医師はいくつかの色の見本を患者の歯に当てて、最も自然に見える色を一緒に選んでいきます。
患者自身も鏡で確認し、納得のいく色を選ぶことが大切ですが、天然の歯が持つ複雑なグラデーションや透明感を完全に一致させることは、セレック治療においては難しい場合があることも理解しておく必要があります。より自然な仕上がりを目指すためには、歯科医師と十分に話し合い、期待値を共有しておくことが重要です。
歯科医師との事前相談の重要性
セレック治療に進む前に「歯科医師との事前相談」を徹底することは、納得のいく治療を受ける上で極めて重要です。ご自身の歯の状態がセレック治療に適しているのか、治療にかかる費用はどのくらいか、保険は適用されるのか、あるいは他の治療法との比較など、疑問や不安な点を全て歯科医師に質問し、十分に納得した上で治療を選択するようにしましょう。
信頼できる歯科医院であれば、これらの質問に対して、患者が理解できるまで丁寧に説明してくれるはずです。疑問点を解消し、安心して治療に臨むためにも、事前のコミュニケーションを大切にしてください。
治療後のケアと対策
セレック治療で入れた歯を長持ちさせるためには、治療後の適切な「ケアと対策」が欠かせません。ここでは、日々の歯磨きといった基本的なケアから、特別な対策が必要なケースまで、具体的な方法を詳しくご説明していきます。
日々のケア方法
セレック治療で装着したセラミックの歯そのものは虫歯になりませんが、修復物とご自身の歯の境目には、プラークなどの汚れが溜まりやすい傾向があります。この部分に汚れが残ってしまうと、そこから新たな虫歯(二次カリエス)が発生するリスクが高まります。
そのため、日々の歯磨きでは、境目を意識して丁寧にブラッシングすることが非常に重要です。さらに、歯ブラシだけでは届きにくい歯と歯の間や、歯と歯茎の境目の清掃には、デンタルフロスや歯間ブラシを併用することが不可欠です。これらの補助清掃具を適切に使用することで、二次カリエスを予防し、セレックの歯を長持ちさせることができます。
歯ぎしりへの対策
もし「歯ぎしり」や「食いしばり」の癖がある方は、セレック治療後の修復物に大きな負担がかかる可能性があります。特に睡眠中に無意識のうちに行われる歯ぎしりでは、想像以上に強い力がセラミックにかかり、破損の原因となることがあります。
ご自身に歯ぎしりの自覚がある場合や、歯科医師から指摘を受けた場合には、歯を守るための対策が必要です。一般的に、夜間に「ナイトガード」と呼ばれるマウスピースを装着することが有効な対策となります。ナイトガードは、歯ぎしりによる衝撃を和らげ、セラミックの歯が割れたり欠けたりするリスクを大幅に軽減してくれます。
定期的なメンテナンスの必要性
セレック治療を長期間にわたって良好な状態で維持するためには「定期的なメンテナンス」が不可欠です。数ヶ月から半年に一度の頻度で歯科医院を訪れ、プロによるクリーニングを受けるようにしましょう。
この定期検診では、単に歯のクリーニングを行うだけでなく、修復物の状態や噛み合わせに変化がないか、また新たな虫歯や歯周病の兆候がないかなども詳しくチェックしてもらえます。何か問題が発生してから対処するのではなく、問題が大きくなる前に早期発見・早期対応をすることで、セレックの歯をより長く、快適に使い続けることができるでしょう。
セレック治療が向いている人とは?
これまでセレック治療の概要、治療の流れ、費用、メリット・デメリットについて詳しく解説してきました。このセクションでは、これらの情報を踏まえ、どのような方が特にセレック治療の恩恵を大きく受けられるのか、具体的なケースを交えてご紹介します。ご自身の状況と照らし合わせながら、セレック治療が最適な選択肢かどうかを判断する際の参考にしてください。
金属アレルギーのある方
金属アレルギーをお持ちの方にとって、セレック治療は非常に適した選択肢となります。セレック治療で使用する詰め物やかぶせ物は、セラミックやハイブリッドセラミックという素材から作製されており、これらは金属を一切含まない「メタルフリー」の素材です。
従来の歯科治療でよく用いられる銀歯(金銀パラジウム合金など)は、金属イオンが溶け出すことで金属アレルギーを引き起こす可能性があります。具体的には、皮膚炎、かぶれ、湿疹などのアレルギー反応が全身に現れることがあります。しかし、セレック治療で用いるセラミック素材は生体親和性が高く、金属アレルギーの心配がありません。そのため、これまで金属アレルギーが原因で歯科治療に不安を感じていた方も、安心して治療を受けていただけます。
審美性を重視する方
口元の見た目、特に「審美性」を重視される方にも、セレック治療は非常におすすめです。セラミックは天然の歯に近い透明感と色調を再現できる素材であり、銀歯のように目立つことがなく、非常に自然な見た目を実現できます。
笑った時に見える奥歯の銀歯が気になる、前歯の詰め物を白くして目立たないようにしたい、といったご要望をお持ちの方に、セレック治療は適しています。セラミックは光の透過性も天然歯に近いため、境目が分かりにくく、治療した箇所がほとんど目立ちません。これにより、口元へのコンプレックスが解消され、自信を持って笑えるようになるという大きなメリットがあります。
時間を節約したい方
仕事や育児などで忙しく、歯科医院に何度も通院する時間がないという方にとって、セレック治療は非常に魅力的な選択肢です。セレック治療の大きな特徴の一つは、最短1日で治療が完了する「即日治療」が可能な点にあります。
従来の歯科治療では、歯型を取り、それを歯科技工所に送って修復物を作製してもらうため、完成までに数日から数週間かかることが一般的でした。そのため、型取り、装着、調整と複数回の通院が必要でした。しかし、セレック治療では、口腔内スキャンから修復物の設計・作製までを院内の機械で行うため、多くのケースでその日のうちに詰め物やかぶせ物の装着が可能です。これにより、通院回数と治療時間を大幅に削減でき、忙しい現代のライフスタイルに合わせた治療を実現できます。
セレック治療を受ける歯科医院の選び方
このセクションでは、セレック治療を成功させるために非常に重要な「歯科医院の選び方」について、具体的なチェックポイントを詳しく解説します。良い治療結果を得るために、どのような点に注目して歯科医院を探せばよいのか、そのヒントをお伝えしていきます。
歯科医師の技術と経験
歯科医院を選ぶ際、特にセレック治療のような精密な治療では、歯科医師の技術と経験が結果を大きく左右します。セレックシステムは優れたツールですが、それを操作する歯科医師の技量によって、仕上がりの精度や持ちが変わってくるため、このセクションでは、歯科医師の技術と経験を確認すべきポイントについて解説していきます。
セレック治療の実績を確認する方法
セレック治療を安心して任せられる歯科医師を見つけるためには、その治療実績を確認することが大切です。多くの歯科医院のウェブサイトでは、これまでに手がけたセレック治療の症例写真や実績数が掲載されていますので、まずはそうした情報を参考にすることをおすすめします。また、カウンセリングの際には、直接歯科医師にこれまでのセレック治療の経験年数や症例数について質問してみるのも良い方法です。多くの症例を経験している医師ほど、様々な歯の状況や患者のニーズに対応できる可能性が高いといえるでしょう。
歯科技工士との連携の重要性
セレック治療では、歯科技工士との連携も非常に重要になります。特に審美性を高く追求したい場合、修復物の色合いや形を細かく調整するためには、歯科医師と歯科技工士との密なコミュニケーションが不可欠です。院内に歯科技工士が常駐している歯科医院や、外部の歯科技工所と緊密に連携している歯科医院であれば、より患者の希望に沿った、精度の高い修復物を提供できる可能性が高まります。
新式設備の導入状況
歯科医院が導入しているセレックシステムの「設備の状況」も、良い治療を受けるための判断材料の一つになります。セレックシステムも日々進化しており、より新しい世代の機器を導入している歯科医院であれば、スキャンの精度が向上していたり、作製できる修復物の種類が増えていたり、審美性がより高くなっていたりする可能性があります。歯科医院のウェブサイトなどで、使用している機器の情報を公開している場合も多いので、ぜひチェックしてみることをおすすめします。
歯科医院の口コミと評判
歯科医院を選ぶ上で、実際にその医院に通院した患者の「口コミと評判」は貴重な情報源となります。このセクションでは、インターネット上の情報や、実際に通院した人の声から、どのように有益な情報を得て、歯科医院選びに役立てるかについて解説していきます。
患者のレビューを参考にする方法
インターネット上の患者のレビューは、歯科医師の説明の丁寧さ、スタッフの対応、院内の雰囲気など、実際に治療を受けた人の感想を知る上で参考になります。ただし、治療結果の感じ方や、歯科医院への評価は人それぞれ異なるため、一つの意見を鵜呑みにせず、複数のレビューを総合的に見て判断することが重要です。良い評価が多い一方で、気になるコメントがないかなど、様々な視点から情報を集めるようにしましょう。
実際に訪問して確認すべきポイント
インターネット上の情報だけでなく、実際に歯科医院に足を運び、ご自身の目で確かめることも非常に大切です。カウンセリングや初診で訪れた際に、院内が清潔に保たれているか、スタッフの方々の対応は気持ちが良いか、そして何よりも、歯科医師がこちらの話を親身になって聞いてくれるか、疑問点に丁寧に答えてくれるかといった点をじっくりと確認してください。ご自身が安心して治療を任せられると感じるかどうかが、最も重要な判断基準となります。
費用や治療方針の透明性
信頼できる歯科医院を見分ける上で、「費用や治療方針の透明性」は非常に重要なポイントです。治療を始める前に、なぜその治療が必要なのか、他にどのような治療の選択肢があるのかを丁寧に説明し、それぞれの治療にかかる費用について明確な見積もりを提示してくれる歯科医院を選びましょう。質問に対して曖昧な回答しかしない、費用説明が不明瞭な歯科医院は避けるべきだといえます。
セレック治療で使用される素材の種類
セレック治療で歯の詰め物やかぶせ物を作る際に用いられる素材は、主に「セラミックブロック」と「ハイブリッドセラミック」の2種類があります。それぞれの素材には異なる特徴があり、治療の目的や費用、審美性へのこだわりによって選択肢が変わってきます。このセクションでは、それぞれの素材がどのような特性を持っているのかを詳しくご説明します。
セラミックブロックの特徴
自由診療で行われるセレック治療の多くで採用されているのが、高品質な「セラミックブロック」です。この素材は、優れた耐久性と自然で美しい見た目を兼ね備えており、長期間にわたって安定した機能と審美性を保つことができます。ここからは、セラミックブロックの具体的な特徴についてご説明します。
耐久性と均一性
セレック治療で使われるセラミックブロックは、歯科材料メーカーの工場で厳密な品質管理のもと製造されています。そのため、素材内部に不純物や微細な気泡がほとんど含まれておらず、非常に高い密度と均一な強度を持っています。この特性により、歯を削り出して作られる詰め物やかぶせ物は、割れにくく、長期間安定して機能する耐久性を備えています。
気泡が入りにくい構造
従来の歯科治療で用いられるセラミック修復物の中には、歯科技工士が手作業でセラミックの粉を盛り付けて作製するものもあります。この方法では、どんなに熟練した技工士が作業しても、ごく微小な気泡が素材内部に入り込んでしまう可能性があり、それが修復物の強度低下につながることもあります。しかし、セレック治療で用いるセラミックブロックは工業製品として製造されているため、このような気泡が混入する心配がほとんどなく、常に安定した強度を保つことができます。
自然な仕上がりの実現
セレック治療で使用するセラミックブロックは、天然の歯が持つ透明感や自然な色合いを非常に高いレベルで再現できるという大きな特徴があります。様々な色調のブロックが用意されており、患者一人ひとりの歯の色に合わせて最適なものを選ぶことが可能です。これにより、銀歯のように目立つことなく、治療した箇所が周囲の歯と自然に調和し、審美的に優れた仕上がりを実現できます。
ハイブリッドセラミックの特徴
セレック治療には、保険適用となる「ハイブリッドセラミック」という素材もあります。この素材は、自由診療で用いられるセラミックブロックとは異なる特性を持ち、費用を抑えながらも審美性をある程度確保したいと考える患者にとって魅力的な選択肢となります。ここでは、ハイブリッドセラミックの特徴について、セラミックブロックとの違いや費用対効果の観点からご説明します。
保険適用可能な素材
ハイブリッドセラミックは、2014年以降、特定の条件を満たすことでCAD/CAMシステムを用いた被せ物として保険が適用されるようになりました。これにより、これまで費用が高額だった白い歯の治療が、より手軽に受けられるようになったのが大きなメリットです。保険適用(3割負担)の場合、1本あたり約1万円程度の自己負担で治療が受けられるため、費用を抑えたい方にとって魅力的な選択肢と言えるでしょう。
セラミックとの違い
ハイブリッドセラミックは、セラミックの微粒子と歯科用プラスチック(レジン)を混ぜ合わせて作られた複合材料です。純粋なセラミック(オールセラミック)に比べると柔らかい特性があります。この柔らかさのおかげで、噛み合う相手の歯を傷つけにくいというメリットがある一方で、オールセラミックと比較すると、経年的にわずかに変色したり、摩耗しやすいというデメリットも存在します。そのため、見た目の美しさを長期間保ちたい場合や、高い強度を求める場合には、オールセラミックが適していることもあります。
費用対効果の比較
ハイブリッドセラミックは、保険適用が可能であるため、初期費用を大幅に抑えられるという大きな費用対効果のメリットがあります。しかし、オールセラミックに比べると、耐久性や審美性の持続期間が短くなる可能性があるため、将来的に再治療が必要になるケースも考慮しておく必要があります。どの素材を選ぶかは、患者の予算、見た目へのこだわり、そして治療部位の特性によって異なりますので、歯科医師とよく相談して決定することが大切です。
まとめ:セレック治療を選ぶ際のポイント
このセクションでは、セレック治療を検討している方が、後悔のない選択をするために押さえておくべき重要なポイントをまとめます。セレック治療は、多くのメリットを持つ一方で、ご自身の状況や希望によっては、注意が必要な点もあります。費用や治療期間、そして歯科医院の選び方など、様々な要素を総合的に考慮することが、満足のいく治療結果につながります。
費用と治療期間のバランス
セレック治療を検討する際、まず考慮すべきは「費用と治療期間のバランス」です。セレック治療は、最短で1日で治療が完了するケースがあるという大きな魅力がありますが、この場合は基本的に自由診療となり、費用は高額になる傾向があります。一方で、ハイブリッドセラミックを使用し、保険が適用されるケースもありますが、この場合は治療できる歯の部位や素材に制限があります。
ご自身のライフスタイルや予算、そして治療に対する優先順位によって、どの選択肢が最適かは異なります。例えば、忙しくて何度も通院できない方は、費用はかかっても即日治療を優先するかもしれません。反対に、費用を抑えたい方は、素材や部位の制限があっても保険適用の治療を選ぶでしょう。これらの要素を天秤にかけ、ご自身にとって最適なバランスを見つけることが重要です。
メリット・デメリットの理解
次に重要なのは、セレック治療の「メリットとデメリットを深く理解する」ことです。セレック治療は、その審美性の高さ、治療期間の短さ、金属アレルギーの心配がないことなど、多くの優れたメリットを持っています。特に、天然歯に近い自然な見た目を実現できる点や、型取りの不快感がない点は、患者にとって大きな利点となります。
しかし、一方でデメリットも存在します。例えば、全ての症例に適用できるわけではなく、歯ぎしりが強い方や非常に複雑なケースでは適応外となることがあります。また、天然歯のような複雑な色のグラデーションを完全に再現するのが難しい場合があることや、場合によっては健康な歯を削る量が多くなる可能性も考慮に入れる必要があります。これらのメリットとデメリットを総合的に判断し、ご自身の歯の状態や期待する治療結果と照らし合わせることが大切ですいです。
歯科医院選びの重要性
セレック治療の成功を左右する最も重要な要素の一つが「歯科医院選び」です。セレックシステム自体は優れたツールですが、それを操作する歯科医師の技術や経験、そして患者とのコミュニケーションの質が、治療の最終的な結果に大きく影響します。症例経験が豊富で、新式設備を導入している歯科医院を選ぶことはもちろん重要です。
しかし、それ以上に大切なのは、ご自身が安心して治療を任せられると感じる歯科医師と出会うことです。治療内容や費用について丁寧に説明してくれるか、疑問や不安に対して真摯に耳を傾けてくれるか、といった点も確認しましょう。費用だけで判断するのではなく、信頼できる歯科医院を見つけることが、満足のいくセレック治療への一番の近道となります。
少しでも参考になれば幸いです。
本日も最後までお読みいただきありがとうございます。
監修者
志田 祐次郎 | Shida Yujiro
日本大学松戸歯学部卒業後、国保旭中央病院、医療法人恵潤会つるみ歯科・小絹つるみ歯科に勤務し、医療法人Belldent志田歯科の理事を務める。 学校法人広沢学園つくば歯科衛生士専門学校の講師を経て、絹の台歯科クリニック、いちファミリー歯科クリニックで勤務を重ね、2020年に「かなまち志田歯科」開院。
【所属】
【略歴】
- 日本大学松戸歯学部 卒業
- 国保旭中央病院 前期・後期研修
- 医療法人恵潤会つるみ歯科・小絹つるみ歯科 勤務
- 医療法人Belledent志田歯科 理事
- 学校法人広沢学園つくば歯科衛生士専門学校 講師
- 絹の台歯科クリニック 常勤勤務
- いちファミリー歯科クリニック 非常勤
金町駅/京成金町駅徒歩2分の歯医者・矯正歯科
『かなまち志田歯科』
住所:東京都葛飾区金町6-1-7 LCプレイス1階
TEL:03-5876-3443