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医療コラム

歯周病対策の食事ガイド:避けるべき食品と代替案|金町駅徒歩2分の歯医者・矯正歯科「かなまち志田歯科」平日20時/土曜18時まで診療の総合歯科医

歯周病対策の食事ガイド:避けるべき食品と代替案

歯周病対策の食事ガイド:避けるべき食品と代替案

葛飾区金町の歯医者・矯正歯科『かなまち志田歯科』です。

歯科検診で歯周病の初期症状を指摘され、歯ぐきの腫れや出血が気になり始めた方もいらっしゃるかもしれません。歯周病は、放っておくと歯を失う原因にもなりかねない、とても身近な病気です。しかし、ご安心ください。歯周病の進行を食い止めるために、毎日の食生活を見直すことが重要な鍵となります。この記事では、どのような食品が歯周病を悪化させるのか、そしてどのような食品が予防に役立つのかを、具体的な代替案とともにわかりやすくご紹介します。日々の食事を少し工夫するだけで、健康な歯と歯ぐきを取り戻すための一歩を踏み出せるでしょう。

なぜ食事で歯周病対策ができるのか?

歯周病は、歯垢(プラーク)の中の細菌によって引き起こされる感染症です。歯垢とは、食べ物のカスなどが歯の表面に付着してできるネバネバした塊で、この中に歯周病菌が潜んでいます。日々の食事内容は、この歯周病菌の増殖のしやすさや、歯ぐきが細菌と戦うための抵抗力に大きく影響します。

たとえば、糖分を多く含む食品を摂ると、口の中の細菌がそれをエサにして活発に活動し、歯垢が増えやすくなります。その結果、歯周病菌も増え、歯ぐきの炎症を悪化させてしまうのです。逆に、歯ぐきの健康を保つ栄養素を積極的に摂ることで、歯ぐきの抵抗力が高まり、細菌による攻撃から歯ぐきを守ることができます。

このように、食事は歯周病の進行を早める原因にもなれば、予防や改善をサポートする強い味方にもなります。毎日の食事を見直すことは、お口の健康を維持し、全身の健康へとつながる重要な第一歩と言えるでしょう。

歯周病が悪化する2つの食事的要因

歯周病を悪化させる食事には、主に2つの要因があります。一つは、歯周病菌に栄養を与えてしまい、細菌の増殖を促す食事。もう一つは、すでに炎症を起こしている歯ぐきを直接的に刺激し、状態を悪化させる食事です。これらの要因を理解することで、より効果的な食生活の改善につながります。

歯周病菌を増やす「エサ」となる食品

歯周病菌を増殖させる主な「エサ」となるのは、糖分や炭水化物です。口の中に糖分や炭水化物が残ると、歯垢中の細菌がそれらを分解し、酸を作り出します。この酸は歯のエナメル質を溶かすだけでなく、歯垢をさらにネバネバとした状態に変え、歯の表面や歯と歯の間に強固に付着させます。

歯垢が増え、厚くなると、その中で歯周病菌が酸素を嫌う性質を活かして活発に繁殖します。このプロセスが繰り返されることで、歯周病菌が産生する毒素が歯ぐきに炎症を引き起こし、最終的には歯を支える骨を溶かす原因となるのです。甘いお菓子やジュース類だけでなく、主食となるご飯やパンなども、食べ方によっては歯周病菌のエサとなってしまうため注意が必要です。

特に、間食として甘いものを頻繁に食べたり、ジュースをだらだらと飲んだりする習慣は、口の中が常に糖分にさらされる状態となり、歯周病菌にとって非常に好都合な環境を作り出してしまいます。

歯ぐきの炎症を悪化させる食品

歯ぐきの炎症を直接的に悪化させる食品には、物理的な刺激を与えるものと、化学的な刺激を与えるものがあります。例えば、非常に硬いおせんべいやフランスパンなどを勢いよく噛むと、炎症を起こしてデリケートになっている歯ぐきを傷つけてしまう可能性があります。小さな傷でも、そこから細菌が侵入し、さらなる炎症を引き起こすことにつながりかねません。

また、唐辛子やカレー粉などの香辛料が豊富に含まれる刺激物も注意が必要です。これらが口内に入ると、すでに炎症を起こしている歯ぐきに直接作用し、痛みや腫れを悪化させる可能性があります。刺激物は血行を促進する効果もありますが、炎症がある部位ではかえって症状を強めてしまうことがあるため、状態が悪い時には控えるのが賢明です。

さらに、栄養バランスの偏りも歯ぐきの炎症を悪化させる間接的な要因となります。特定の食品ばかりを摂りすぎたり、加工食品に偏った食事を続けたりすると、体全体の免疫力が低下し、歯周病菌に対する抵抗力が弱まります。その結果、歯ぐきの炎症が治りにくくなったり、悪化しやすくなったりしてしまうため、バランスの取れた食事が大切ですことです。

【リストで確認】歯周病の進行につながる避けるべき食品

この章では、日々の食生活において歯周病の進行につながりやすい食品について詳しく見ていきましょう。単に「これは避けるべき」と知るだけでなく、「なぜ良くないのか」という理由を理解することで、ご自身の食生活をより意識的にコントロールできるようになります。具体的な知識を得て、健康的な口内環境を目指すための第一歩を踏み出しましょう。

糖分が多く、歯垢を増やしやすい食品

糖分を多く含む食品は、歯周病菌にとって格好の「エサ」となります。お菓子や清涼飲料水に含まれる糖分は、口の中の細菌によって分解され、歯垢(プラーク)を形成します。この歯垢の中で歯周病菌が増殖し、歯ぐきの炎症を引き起こしたり、悪化させたりするのです。特に、長時間口の中に糖分が残るような食べ方や、間食が多い習慣は注意が必要です。

一見健康的だと思われがちな食品の中にも、糖分が多いものがあります。例えば、100%果汁ジュースやドライフルーツです。これらは自然の糖分を含みますが、濃縮されているため多くの糖分が含まれており、また歯に張り付きやすい性質を持っています。口内が酸性に傾く時間が長くなり、歯周病菌が繁殖しやすい環境を作り出してしまうため、摂りすぎには注意が必要です。

歯や歯ぐきに残りやすい粘着性の高い食品

スナック菓子、キャラメルやグミといった菓子類、菓子パン、さらには白米なども、歯や歯ぐきに残りやすく、粘着性の高い食品です。これらの食品は口の中で細かく砕かれ、歯の表面や歯と歯の間、歯ぐきの境目などに長時間留まりやすい特徴があります。食べカスが長く口の中に残ることで、歯周病菌に継続的に栄養を与えてしまい、歯垢の形成と細菌の増殖を促してしまいます。

特に寝る前にこれらの食品を摂取し、そのまま歯磨きをせずに寝てしまうと、睡眠中は唾液の分泌量が減るため、細菌が繁殖しやすい状態が長時間続いてしまいます。食後にはできるだけ早く丁寧に歯磨きをし、歯間ブラシやフロスなどを使って食べカスをしっかり取り除くことが大切です。

歯を傷つけたり、炎症を刺激したりする食品

硬いおせんべいやフランスパン、硬いナッツ類などは、食べる際に歯や歯ぐきに物理的なダメージを与える可能性があります。特にすでに歯周病で歯ぐきが炎症を起こしている場合、硬い食品が当たることで出血したり、さらに炎症を悪化させたりすることがあります。このような食品を食べる際は、無理なく噛める大きさにしたり、柔らかい部分を選んだりするなどの工夫が必要です。

また、唐辛子やカレー粉などの香辛料を多く含む刺激物も注意が必要です。これらは歯ぐきに直接的な刺激を与え、既に炎症を起こしている部位をさらに悪化させる可能性があります。辛いものがお好きな方もいらっしゃるかもしれませんが、歯ぐきの状態が良くない時は、刺激の少ない食事を選ぶことをおすすめします。

口内を酸性に傾け、歯を溶かしやすくする食品

口の中が酸性に傾くと、歯のエナメル質が溶け出す「酸蝕症(さんしょくしょう)」のリスクが高まります。酢の物、柑橘類(レモン、オレンジなど)、炭酸飲料、スポーツドリンクなどは、酸性度が高い食品や飲料の代表例です。健康に良いとされる酢の物や柑橘類も、摂りすぎると口内環境に悪影響を与える可能性があるため注意が必要です。

酸蝕症によって歯のエナメル質が薄くなると、歯の表面が弱くなり、歯周病菌が定着しやすくなるだけでなく、冷たいものがしみる知覚過敏を引き起こすこともあります。これらの食品を摂取する際は、だらだらと食べ続けず、食後は水やお茶で口をゆすぐ、フッ素配合の歯磨き粉を使用するなどして、口の中の酸を中和し、歯へのダメージを最小限に抑える工夫をしましょう。

体の免疫力を低下させる可能性のある食品

インスタント食品や冷凍食品などの加工食品、そして過剰なアルコール摂取は、栄養バランスの偏りを招き、体の免疫力を低下させる可能性があります。加工食品には、糖分や塩分、添加物が多く含まれていることが多く、これらの過剰摂取は体全体の健康に悪影響を及ぼします。免疫力が低下すると、歯ぐきの細菌に対する抵抗力が弱まり、歯周病の発症や進行を早めることにつながります。

アルコールも過剰に摂取すると、肝臓に負担をかけたり、栄養素の吸収を妨げたりすることで、全身の免疫機能に影響を及ぼします。また、アルコールには利尿作用があるため、口の中が乾燥しやすくなり、唾液の自浄作用が低下することで細菌が繁殖しやすい環境を作ることもあります。口腔内の健康は全身の健康と密接に関わっているため、バランスの取れた食事を心がけ、加工食品やアルコールの過剰摂取は控えましょう。

もう迷わない!避けるべき食品の健康的な代替案

歯周病の予防や改善のために、避けるべき食品を知ることは非常に大切です。しかし、「好きなものを我慢しなければならない」と考えると、食事の楽しみが半減してしまうかもしれません。ご安心ください。ここでは、健康を意識しつつも、美味しく食生活を続けられる代替案をご紹介します。制限と捉えるのではなく、「賢い選択」として、積極的に日々の食事に取り入れてみましょう。無理なく続けられる工夫を見つけることで、歯周病対策を楽しみながら実践できるようになります。

甘いものが食べたくなったら?

甘いものが無性に食べたくなった時でも、歯周病対策を諦める必要はありません。ポイントは、砂糖の摂取量を減らし、口腔内環境に優しい選択をすることです。例えば、キシリトールなどの代替甘味料を使ったお菓子は、虫歯菌のエサにならないため、歯に優しい選択肢となります。市販のキシリトールガムやタブレットなどを活用してみましょう。

また、自然な甘さを楽しみたい場合は、糖質の少ない果物もおすすめです。特にベリー類(いちご、ブルーベリーなど)は、抗酸化作用のあるビタミンも豊富に含んでおり、歯ぐきの健康維持にも役立ちます。無糖のヨーグルトにこれらを加えて食べるのも良いでしょう。ヨーグルトに含まれる乳酸菌は、口内の細菌バランスを整える可能性も期待できます。

小腹が空いた時の間食は?

小腹が空いた時の間食は、ついついスナック菓子や甘いものに手が伸びてしまいがちですが、歯周病予防のためには賢い選択をすることが重要です。そこでおすすめしたいのが、ナッツ類やチーズ、野菜スティックです。これらは栄養価が高く、満腹感も得られやすいため、間食にぴったりです。

ナッツ類、特にアーモンドやピーナッツには、歯の再石灰化を助けるカルシウムやリンが豊富に含まれています。チーズも同様にカルシウムが豊富で、口内のpHバランスを整える効果も期待できます。また、人参やきゅうりなどの野菜スティックは、よく噛むことで唾液の分泌を促し、口内の自浄作用を高めてくれます。さらに、食物繊維が歯の表面を優しくこすり、汚れを取り除くセルフクリーニング効果も期待できます。

飲み物の選び方は?

普段何気なく飲んでいる飲み物も、歯周病対策においては重要なポイントです。砂糖を多く含む清涼飲料水やジュースは、歯周病菌のエサとなりやすく、口内を酸性に傾けてしまうため、避けるのが賢明です。代わりに、お口に優しい飲み物を選ぶように心がけましょう。

最も推奨されるのは「水」です。水分補給に最適であり、口内の乾燥を防ぎ、唾液の分泌を促します。また、「お茶」も良い選択肢です。特に緑茶に含まれるカテキンには、歯周病菌の増殖を抑える抗菌作用が期待できます。ウーロン茶に含まれるポリフェノールも、歯垢の形成を抑制する効果があると言われています。無糖のものを選び、こまめに飲むことで、お口の中を清潔に保ち、歯周病のリスクを減らすことができます。

歯周病予防をサポートする!積極的に摂りたい栄養素と食品

歯周病の対策は、悪いものを避ける「守り」の食事だけではありません。積極的に摂るべき栄養素や食品を知ることで、歯や歯ぐきを内側から強くし、歯周病に負けない健康な口内環境を築くことができます。この章では、どのような栄養素が歯周病予防に効果的なのか、そしてそれらを多く含む食品には何があるのかを具体的にご紹介します。今日から実践できる食生活のヒントを見つけて、より健康な歯と歯ぐきを目指しましょう。

歯ぐきの健康を保つ「ビタミン類」

歯ぐきの健康を保つ上で、ビタミン類は非常に重要な役割を果たします。特に注目したいのは、ビタミンC、ビタミンA(β-カロテン)、そしてビタミンEの3つです。

まず、ビタミンCは、歯ぐきの主要な構成要素であるコラーゲンの生成に不可欠です。コラーゲンが不足すると、歯ぐきが弱くなり、炎症が起きやすくなります。いちご、みかんなどの柑橘類、ピーマン、ブロッコリーなどにはビタミンCが豊富に含まれています。次に、ビタミンAは歯ぐきなどの粘膜を健康に保つ働きがあり、β-カロテンとして摂取することで体内でビタミンAに変換されます。人参やほうれん草、小松菜などに多く含まれています。そして、ビタミンEは強力な抗酸化作用を持ち、歯ぐきの炎症を抑える効果が期待できます。ナッツ類や植物油、ほうれん草などに多く含まれています。

これらのビタミンをバランス良く摂取することで、歯ぐきの組織を丈夫にし、炎症への抵抗力を高めることができるため、歯周病の予防や改善に繋がります。

歯を支える骨を強くする「ミネラル類」

歯周病は、歯ぐきの炎症だけでなく、歯を支える骨(歯槽骨)が溶けてしまう病気です。そのため、歯槽骨を強く健康に保つことは、歯周病の進行を防ぐ上で非常に重要となります。ここで欠かせないのが「ミネラル類」です。

骨の主成分であるカルシウムは、骨の密度を保ち、丈夫な歯槽骨を維持するために不可欠な栄養素です。牛乳やチーズなどの乳製品、小魚、小松菜、切り干し大根、高野豆腐などに豊富に含まれています。また、カルシウムの吸収を助けるビタミンDも、骨の健康には欠かせません。ビタミンDは、鮭やきのこ類に多く含まれるほか、日光を浴びることでも体内で生成されます。さらに、マグネシウムも骨の形成に関わる重要なミネラルで、大豆製品やナッツ類、海藻類などに多く含まれています。

これらのミネラルをバランス良く摂取し、丈夫な歯槽骨を維持することで、歯がぐらつくのを防ぎ、歯周病による歯の喪失リスクを減らすことができます。

お口の中をきれいにする「食物繊維」

食物繊維は、腸内環境を整えるだけでなく、お口の中の健康にも良い影響を与えます。特に、食物繊維が豊富な野菜をよく噛んで食べることで、二つの重要な効果が期待できます。

一つ目は「セルフクリーニング効果」です。人参、ごぼう、レタスなどの繊維質の多い野菜を噛むと、その繊維が歯の表面や歯と歯の間に付着した食べカスや歯垢を物理的にこすり取ってくれる働きがあります。これは、食後の歯磨き補助のような役割を果たし、口内を清潔に保つのに役立ちます。

二つ目は「唾液の分泌促進効果」です。よく噛むことで唾液腺が刺激され、唾液がたくさん分泌されます。唾液には、食べカスを洗い流す「自浄作用」、細菌の活動を抑える「抗菌作用」、そして酸性に傾いた口内を中性に戻す「緩衝作用」など、様々な働きがあります。つまり、食物繊維を意識して摂り、よく噛むことで、これらの唾液の働きを最大限に引き出し、口内環境を清潔で健康に保つことができるのです。

炎症を抑える働きが期待できる「良質な脂質」

歯周病は歯ぐきの炎症を伴う病気ですが、その炎症を抑える働きが期待できるのが「良質な脂質」です。特に、青魚に多く含まれるオメガ3系脂肪酸は、抗炎症作用を持つことで知られています。

サバ、イワシ、アジなどの青魚に含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)といったオメガ3系脂肪酸は、体内で炎症を引き起こす物質の生成を抑え、逆に炎症を鎮める物質の生成を促す働きがあります。これにより、歯ぐきの炎症を和らげ、歯周病の進行を抑制する効果が期待できます。また、ネギやニラなどに含まれる特定の成分にも、炎症を抑える働きがあると言われています。

日々の食事にこれらの良質な脂質や抗炎症作用のある食材を取り入れることは、歯ぐきの健康を保ち、歯周病による炎症をコントロールする上で非常に有効なアプローチとなります。

口内環境を整える「発酵食品」

近年、腸内環境が全身の健康に影響を与えることが広く知られていますが、実は口内環境も腸内環境と密接に関連しており、発酵食品がその改善に役立つ可能性があります。

ヨーグルト、納豆、味噌などの発酵食品には、プロバイオティクスと呼ばれる善玉菌が豊富に含まれています。これらの善玉菌を摂取することで、口内の細菌バランスが整えられ、歯周病菌のような悪玉菌の増殖を抑制する効果が期待されます。善玉菌が悪玉菌と競合することで、歯周病の発生リスクを低減したり、炎症を抑えたりする働きが注目されています。

また、食物繊維などのプレバイオティクス(善玉菌のエサとなる成分)と発酵食品を一緒に摂取することで、善玉菌の働きがさらに活発になり、口内環境だけでなく、腸内環境全体にも良い影響を与えると考えられています。毎日の食生活に発酵食品を上手に取り入れて、健康な口内環境を目指しましょう。

食事の摂り方で変わる!歯周病リスクを下げる5つの食習慣

歯周病の対策では、どのような食品を食べるかに加えて、どのように食べるかという日々の食習慣も非常に重要になります。これからご紹介する5つの習慣を日常生活に取り入れることで、食事による歯周病対策の効果をさらに高めることが可能です。無理なく実践できることばかりですので、ぜひ参考にしてみてください。

1. よく噛んで唾液の分泌を促す

食事の際に「よく噛むこと」は、歯周病予防において非常に大切な習慣です。目安として、一口の食べ物につき30回以上噛むことを意識してみてください。よく噛むことで、唾液の分泌が活発になり、口内環境が良好に保たれます。唾液には、食べかすを洗い流す自浄作用や、細菌の増殖を抑える抗菌作用、口の中を中性に戻す酸の中和作用など、さまざまな働きがあります。唾液はまさに、私たちのお口を守る天然の洗浄剤といえるでしょう。

また、よく噛む習慣は、歯や顎を丈夫にする効果も期待できます。しっかり噛むことは、歯周組織全体に適度な刺激を与え、血行を促進することにもつながります。柔らかいものばかりでなく、根菜類や繊維質の多い野菜など、噛み応えのある食材を積極的に取り入れると良いでしょう。

2. 間食の回数と時間を決める

間食そのものが悪いわけではありませんが、問題となるのは「だらだら食べ」の習慣です。長時間にわたって少しずつ何かを食べ続けると、口の中が常に酸性に傾いた状態になり、細菌が活動しやすい環境が続いてしまいます。これは、歯周病菌が増殖するだけでなく、虫歯のリスクも高める原因となります。

間食は、回数を決めて、短時間で済ませるように心がけましょう。例えば、1日1回などと決めて、時間を限定して食べるようにすると良いです。また、間食後はすぐに水で口をゆすぐ、または歯磨きをするなどの対策を行うと、口の中に食べかすが残る時間を短縮し、リスクを減らすことができます。

3. バランスの取れた食事を心がける

特定の栄養素だけを意識して摂取するのではなく、主食・主菜・副菜が揃ったバランスの取れた食事を心がけることが、歯周病予防には不可欠です。様々な食品から多種類の栄養素を摂ることで、全身の免疫力が高まり、歯周病菌に対する抵抗力を強くすることができます。これまでの章でご紹介した歯ぐきの健康を保つビタミン類、歯を支える骨を強くするミネラル類、口内をきれいにする食物繊維などをバランス良く摂取できるよう意識しましょう。

外食が多い場合のメニュー選びのコツ

外食が多い場合でも、少し意識を変えるだけで歯周病予防に繋がるメニュー選びが可能です。まず、定食スタイルのメニューを選びましょう。主食・主菜・副菜が揃っていることが多く、栄養バランスが整いやすいためおすすめです。特に、野菜が豊富なメニューを選ぶと良いでしょう。例えば、野菜炒め定食や、サラダがしっかり付いているランチなどは、ビタミンや食物繊維を補給できます。

次に、甘辛いタレやあんかけのかかったメニュー、揚げ物はなるべく避けることをおすすめします。これらは糖分や脂質が多く、口内に残りやすいため、歯周病菌のエサになったり、炎症を悪化させたりする可能性があります。代わりに、焼き魚や蒸し鶏など、素材の味を活かしたシンプルな調理法のものを選ぶと良いでしょう。和食は比較的ヘルシーな選択肢が多いので、積極的に取り入れてみてください。

4. 寝る直前の食事は避ける

寝る直前の食事は、歯周病のリスクを大きく高める原因となるため、特に注意が必要です。就寝中は、活動している時間帯と比べて唾液の分泌量が大幅に減少します。これにより、口内の自浄作用がほとんど働かなくなり、食べ物のカスや糖分が口の中に長時間留まりやすくなります。

その結果、歯周病菌をはじめとする細菌が繁殖しやすい環境が整い、歯周病の進行を加速させてしまう可能性があります。一般的には、就寝の2~3時間前までには食事を終えることが推奨されています。夕食が遅くなってしまう場合は、消化の良いものを選んだり、食後に丁寧に歯磨きをしたりするなどの工夫をしてみてください。

5. こまめな水分補給で口内の乾燥を防ぐ

口内の乾燥、いわゆるドライマウスは、歯周病のリスクを高める要因の一つです。唾液の量が不足すると、食べかすを洗い流す自浄作用や、細菌の増殖を抑える抗菌作用が十分に機能しなくなります。そのため、こまめな水分補給によって口内を常に潤しておくことが、歯周病予防につながります。

水分補給の際は、糖分を含まない「水」や「お茶(特に緑茶やウーロン茶)」を選ぶようにしましょう。特に、日中にこまめに少量の水を飲む習慣をつけることが大切です。これにより、唾液の分泌が促され、口内環境を良好に保つことができます。

食事だけじゃない!歯周病対策に不可欠なセルフケアと歯科検診

これまで、歯周病対策における食事の重要性について詳しくお伝えしてきましたが、健康な歯と歯ぐきを維持するためには、食事改善だけでは十分ではありません。食事は歯周病の進行を抑え、歯ぐきの抵抗力を高めるための大切な土台作りですが、これに加えて日々の適切なセルフケアと、歯科医師による専門的なケアが両輪となって初めて、確実な歯周病対策へとつながります。これからのセクションでは、食事と並行して実践すべき、重要なケアについてご紹介します。

毎日の丁寧なセルフケアがすべての基本

食事内容を改善し、歯周病菌が活動しにくい口内環境を整えることは非常に大切です。しかし、どれほど良い食生活を送っていても、口の中に残った歯垢を物理的に除去しなければ、歯周病の根本的な解決にはなりません。毎日の丁寧な歯磨き、つまりセルフケアこそが、歯周病対策の最も基本的な行動となります。

歯周病の原因菌の温床となる歯垢は、歯の表面だけでなく、歯と歯の間、歯と歯ぐきの境目など、複雑な場所に付着しています。そのため、ただ歯ブラシを動かすだけでなく、正しいブラッシング方法を身につけることが不可欠です。さらに、歯ブラシだけでは届きにくい歯と歯の間の歯垢を除去するために、歯間ブラシやデンタルフロスの使用も欠かせません。これらのケアを毎日の習慣にすることで、歯周病のリスクを大きく減らすことができます。

歯科医院での定期的なプロフェッショナルケアの重要性

毎日の丁寧なセルフケアは非常に大切ですが、ご自身では取り除けない汚れも存在します。特に、歯垢が石灰化して硬くなった「歯石」は、歯ブラシでは除去できません。この歯石の表面はザラザラしており、新たな歯垢が付着しやすくなるだけでなく、歯周病菌の温床となって歯周病をさらに悪化させる原因となります。

歯石の除去や、セルフケアでは磨き残しやすい部分の清掃は、歯科医院で行う「プロフェッショナルケア」でしか実現できません。定期的に歯科検診を受け、専門家によるクリーニングや歯石除去を行うことで、お口の中を清潔な状態に保ち、歯周病の進行を食い止めることができます。また、定期検診では歯周病の初期症状を早期に発見し、適切な治療へとつなげることが可能になります。

生活習慣の見直しも忘れずに(禁煙・ストレス管理)

歯周病は食事や口腔ケアだけでなく、全身の健康状態や生活習慣とも深く関連しています。特に見直していただきたいのが「禁煙」と「ストレス管理」です。喫煙は歯周病の最大のリスク因子の一つとして知られており、タバコに含まれる有害物質が血流を悪化させ、歯ぐきへの酸素や栄養の供給を妨げます。これにより、歯ぐきの免疫力が低下し、歯周病が進行しやすくなるだけでなく、治療の効果も出にくくなります。

また、過度なストレスも歯周病に悪影響を及ぼす可能性があります。ストレスは体の免疫機能を低下させ、歯周病菌への抵抗力を弱めることがあるため、歯周病を悪化させる一因となることが考えられます。規則正しい生活、十分な睡眠、適度な運動などによってストレスを上手に管理することも、健康な歯と歯ぐきを守るために非常に重要です。

まとめ:日々の食事を見直して、健康な歯と歯ぐきを目指そう

これまでお伝えしてきたように、歯周病の予防と改善には、毎日の食事が非常に重要です。歯周病は、歯垢の中の細菌によって引き起こされる炎症ですが、どのような食品を食べるか、どのように食べるかによって、その細菌の増殖を促したり、逆に歯ぐきの抵抗力を高めたりすることができます。特に、糖分が多く歯垢になりやすい食品や、歯ぐきに刺激を与える食品は避けるべきですが、抗酸化作用のあるビタミン類、骨を強くするミネラル類、口内をきれいにする食物繊維、炎症を抑える良質な脂質など、積極的に摂りたい栄養素もたくさんあります。

また、「何を食べるか」だけでなく、「どのように食べるか」という食習慣も大切です。よく噛んで唾液の分泌を促したり、間食の回数や時間を決めたり、寝る前の食事を避けたりするなど、少し意識を変えるだけで、歯周病リスクを大きく減らすことができます。さらに、食事改善だけでなく、毎日の丁寧なセルフケアと、歯科医院での定期的なプロフェッショナルケアを組み合わせることで、より効果的に健康な歯と歯ぐきを維持できます。日々の食事を見直すことで、歯周病のない健やかな口腔環境を目指しましょう。

 

少しでも参考になれば幸いです。
本日も最後までお読みいただきありがとうございます。

 

監修者

志田 祐次郎 | Shida Yujiro
日本大学松戸歯学部卒業後、国保旭中央病院、医療法人恵潤会つるみ歯科・小絹つるみ歯科に勤務し、医療法人Belldent志田歯科の理事を務める。 学校法人広沢学園つくば歯科衛生士専門学校の講師を経て、絹の台歯科クリニック、いちファミリー歯科クリニックで勤務を重ね、2020年に「かなまち志田歯科」開院。  

【所属】

 

【略歴】

 

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